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60回目の8月15日:人民日報駐日記者 孫東民(1)

長い間、日本人は8月15日を2つの名前で呼んできた。終戦日、もしくは敗戦日。日本政府は「戦沒者を記念し、平和を祈念する日」と定義している。8月15日は、すでに一つの象徴となっており、さまざまな戦爭観や歴史観は、すべて8月15日に照らして検証されるべきだ。

10年前、私は人民日報の取材団に參加し、日本の50回目の8月15日を報道した。10年が経ち、日本政界の登場人物は入れ替わり、日本社會の雰囲気も変わった。全體的な印象としては、戦後60年を迎え、日本は決して歴史を忘れていないが、日本は獨特なやり方で歴史を記憶している。つまり戦爭の加害者としての記憶もあるが、被害者としての記憶がより多い。

中國と同じく干支で年月を數(shù)える日本も、戦後60年を節(jié)目の重要な年と考えている。民間の各界でも、関連記念行事の計畫が年初から始まっている。夏が近付くと、新聞?雑誌?テレビなどのマスコミには、記念行事に関わる報道が明らかに増える。戦爭を振り返る集會や、評論家の講演會、戦爭加害者による証言、戦爭孤児の物語、新たに発見された歴史的映像の一こま、などなどが次々に公表され、映像集「昭和と戦爭」の広告には「涙が止まらない」「戦時下の日本」などの文句が躍る。

日本は価値観が多様な社會であり、多様な戦爭観と歴史観が交錯し、対峙する。筆者が8月15日を前に自宅付近の書店をぶらぶらしていると、戦後60年を記念する本を見つけた。戦爭に反対する本と、侵略を美化する本が、同じ棚に並んでいた。書棚の張り紙には、「戦後60年、日中間の戦爭は終わっていない。日本はいったい、中國で何をしたのか?この歴史が、今まさに抹殺されようとしている」と書かれてあった。731部隊の罪業(yè)を白日の下に曬した森村誠一氏のベストセラー「悪魔の飽食」の宣伝コピーだ。同時に、小林よしのり氏の戦爭を美化する漫畫がベストセラー二番目の座を占める。このほか、「戦後日本人は洗脳された」「極東軍事裁判のうそ」「奪われた國家の誇り」「屈辱外交」「自虐教育」「中國人に、日中戦爭の本當の歴史を教えなければならない」などなど、毒々しい言葉を冠した本も、書架で存在感を放っている。

日本の記念行事には特徴がある。歴史問題において、戦爭の悲慘さを強調(diào)し、平和を尊び、因果関係に觸れることを避けようとする。したがって、戦後60年を記念する場合も、まず被害を強調(diào)するところから始まっている。3月10日の東京大空襲から始まり、6月の沖縄戦、そして8月初めの広島と長崎の原爆被害者の記念行事で、最高潮に達した。日本はこの一連の記念行事を、數(shù)十年間わたって極めて盛大に続けてきた。公共放送のNHKが放送した特集「NHKスペシャル 赤い背中―原爆を背負いつづけた60年―」は、今年で76歳になる谷口稜曄さんが、被爆後に血だらけの背中をかかえ、その後60年にわたって受けた苦しみの物語を報道し、視聴者に深い印象を與えた。また、広島と長崎の記念行事とその施設(shè)はすべて、日本が被害意識を持ちつづけ、強化する手段である。

日本の研究者によると、日本社會は伝統(tǒng)的に內(nèi)向的で、「島國根性」であるゆえに、視野が狹くなりがちで、自分中心な視點になりがちという。この考え方はある程度根拠があるが、すべて正しいとは言えない。多數(shù)の日本國民や反戦平和団體が、各種の記念活動を行った。平和反戦デモの列には、古希の老人もいれば、世間に出たばかりの若者もいて、共に歴史に対して勇敢に向き合い、當時の軍國主義の罪を暴き出している。中國を侵略した日本軍の細菌部隊が殘した化學(xué)兵器が、現(xiàn)在に至るまで中國の人々を苦しめていることを暴露した記録映畫「にがい涙の大地から」(海南友子監(jiān)督)は、幅広い共感を呼び起こした。若者による団體「ピースボート」は、日本の青年に呼びかけて韓國の釜山、中國の上海、沖縄を訪れ、平和交流を行っている。また、ノーベル文學(xué)賞授章作家の大江健三郎や、哲學(xué)者の梅原猛ら著名人が集まり、「九條の會」を設(shè)立し、8月15日に、終戦を振り返り、被爆60年の日本を評価する記念集會を開くと決定し、平和遺族會などの反戦団體が「平和のための戦爭展」などの集會を?qū)g行しようとしている。

歳月は人を待たず、人は老いる。當時10歳の子どもは今や古希となり、當時20歳の軍人は今や80歳の老人だ。中國で悪事をはたらき、良心の呵責(zé)に苛まれながら長い間沈黙を守ってきた軍人の一部が、自らの體験と合わせて戦爭の暴虐を明らかにし始めている。戦後、撫順の戦犯管理所で教育を受けた舊軍人も、勇気を奮って立ち上がり、侵略の罪について証言した。

日本で、侵略の事実を覆そうとする人々はごく限られている。民間では、多くの日本人が戦爭を反省している。反戦平和の列に連なる人々が多くなるほど、アジアの平和と安定にはより希望が持てる。

「人民網(wǎng)日本語版」 2005年8月15日

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