一 四川料理
1 四川料理系列の形成
四川は沃野が広がり、物産が豊かなので豊富な原材料に恵まれている。
2 特徴
(1)味付けを重視している。
a 調(diào)味料が複雑多様でこの點に大きな特徴があり、四川の調(diào)味料、四川の味を重視している。調(diào)味料としては唐辛子、花山椒、胡椒、紹興酒の酒糟、豆瓣醤、蔥、生姜、ニンニクなどを多用する。
b 段階別の逓増式調(diào)味法に優(yōu)れる。
c 味付け様式が多様である。
(2)料理方法としては簡単な炒め物、煎り物、煮込み、揚げ炒めなどに長じる。
このほか、四川料理はスープの作り方、使用方法を重視する。
3 代表料理
四川料理には“干煸牛肉絲(牛肉細切り揚げ唐辛子炒め)”、“水煮牛肉(牛肉の唐辛子煮)”、“宮寶鶏?。ē圣氓膜腮嵢猊单ぅ偿恧纬搐嵛铮?、“麻婆豆腐”、“酸菜魚(酸味のある漬物で魚を煮込む)”など多くの料理がある。
4 複合型四川料理
塩味旨み料理
主として四川塩と旨み調(diào)味料で調(diào)整して旨みを出しており、適切な塩加減で淡白な旨みを引き出す?!磅r蘑(シイタケ)菜心(青梗菜)”、“白汁鯉魚”、“黃焼魚翅(フカヒレ)”、“鮮溜鶏絲(鶏肉千切り)”、“雪花鳳淖(マッシュ)”、“鮮溜(あんかけ)肉片”などがある。
家庭料理
四川塩、郫県豆瓣醤、醤油、料理酒、旨み調(diào)味料、粉胡椒で調(diào)理する。塩味、旨みに僅かな辛味が入る。“生爆塩(揚げ炒め)煎肉”、“家常臊子(肉のみじん切り)牛筋”、“家常豆腐”などがある。
麻辣(花山椒唐辛子)料理
四川塩、郫県豆瓣醤、干し赤唐辛子、花山椒、干し唐辛子粉、豆鼓(浜納豆)、醤油などで調(diào)理する。痺れ味、辛味、塩味、旨みのハーモニーが特徴である?!奥槠哦垢?、“水煮牛肉”、“干煸(油通し炒め)牛肉絲”、“麻(痺れ味)辡(辛味)牛肉”などがある。
片栗溶じ辛味料理
四川塩、醤油、干し赤唐辛子、花山椒、生姜、ニンニク、蔥で調(diào)理する。香り高い辛味が特徴で、旨みのある塩味が主で軽い甘み、酸味がある?!皩m保鶏丁(鶏のサイコロ)”、“宮保蝦仁(蝦の剝き身)”、宮保扇貝(帆立貝)“、“拌糊辣肉片(薄切り肉)”などがある。
魚香(塩漬魚と一緒に漬けた唐辛子味)料理
四川塩、醤油、砂糖、酢、発酵唐辛子、生姜、蔥、ニンニクで調(diào)理する。塩味、辛味、酸味、甘みが特徴の四川料理獨特の魚香味である?!棒~香肉絲”、“魚香大蝦”、“過江魚香前煎”、“魚香前花”、“ 魚香酥鳳片”、“ 魚香鳳脯絲”、“魚香鴨(アヒル)方”などがある。
生姜汁料理
四川塩、醤油、オロシ生姜、ゴマ油、旨み調(diào)味料で調(diào)理する。旨みのある塩味で、生姜汁の味が濃厚である。“姜汁仔鶏(若鶏)”、“姜汁(生姜味)鮮魚”、“ 姜汁(生姜味)魚絲”、 “ 姜汁(生姜味)鴨掌(アヒルの水掻き)”、 “ 姜汁(生姜味)菠菜(ホーレンソウ)”などがある。
酸味辛味料理
四川塩、醤油、酢、粉胡椒、旨み調(diào)味料、胡麻油を調(diào)味料とする。特徴は酸味、辛味、塩味、旨みの複合味にあり、酢の香りが高い。料理としては辣子(唐辛子)鶏條(鶏肉細切り)、辣子魚塊(魚のぶつ切り唐辛子炒め)、搶(叩く)黃瓜條(キューリ拍子切り)などがある。
甘酢味料理
四川塩、砂糖、酢、粉胡椒、旨み調(diào)味料で調(diào)味する。特徴は塩味、酸味、甘味、旨味の濃厚さにある。糖酢松酥魚(削ぎ込み魚の甘酢柔か揚げ煮)、糖酢酥魚?。ē单ぅ偿砬肖牯~の甘酢柔か揚げ煮)、過江糖酢魚巻(甘酢魚ロール)などがある。
荔枝(レイシ)味料理
四川塩、醤油、砂糖、酢、粉胡椒、旨味調(diào)味料で調(diào)味する。特徴は塩味が中心で、若干の甘味、酸味を加える。鍋巴(オコゲ)三鮮(ナマコ、蝦、鶏肉、竹の子、シイタケのうちの三種)、鍋巴(オコゲ)海參(ナマコ)、泡辣椒(発酵唐辛子)鶏?。嵢猊单ぅ偿砬肖辏?、荔枝(レイシ)肉片(豚肉薄切り)などがある。
カラシ(マスタード)味料理
四川塩、醤油、酢、カラシ、ゴマ油、旨味調(diào)味料で調(diào)味する。特徴は濃厚な塩味、旨味、酸味、辛味にある。カラシ(マスタード)鶏脯(胸肉或いは味付け干し肉)、カラシ(マスタード)扇貝(帆立貝)などがある。
芳香甘味料理
砂糖、氷砂糖、黒砂糖、ゴマ、各種果実製調(diào)味料などで調(diào)味する。特徴は香り高い甘味にあり、雪花桃泥(ピーチマッシュ)、氷砂糖紅苕円(サツマイモ団子)、氷汁荷(蓮)竜眼(リュウガン)などがある。
花山椒痺れ味料理
四川塩、醤油、旨味調(diào)味料、花山椒、蔥の葉、ゴマ油で調(diào)味する。特徴は旨味のある塩味で痺れ感があり、蔥の香りが濃厚なことである。一般に冷菜が多く、椒麻(花山椒)鶏片(鶏の薄切り)、椒麻(花山椒)鴨(アヒル)掌(水掻き)、 椒麻(花山椒)魚片(魚肉の薄切り)などがある。
怪(不思議)味料理
醤油、砂糖、酢、ラー油、粉花山椒、ゴマペースト、煎りゴマ、旨味調(diào)味料、しょうが、蔥、ニンニク、ゴマ油などで調(diào)味する。特徴は全ての味を取り入れていることにあり、辛味、痺れ味に優(yōu)れている。一般に冷菜が多く、怪味鶏絲(鶏の千切り)、怪味鴨片(アヒルの薄切り)、怪味魚片(魚の薄切り)、怪味蝦片(エビの薄切り)、怪味青筍(若い竹の子)などがある。
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